日本共産党第五回党大会宣言

提供: 日本社会主義文献類聚
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  • 日本共産党第五回党大会の大会宣言の全文である。
  • 底本:日本共産党中央委員会・編『日本共産党綱領集』日本共産党中央委員会出版部、1962年。
  • 用字・仮名遣いは底本に従った。

 日本共産党は、現在進行しつつある、わが国のブルジョア民主主義革命を、平和的に、かつ民主主義的方法によって完成することを当面の基本目標とする。故に、党は資本主義制度全体を直ちに廃止して、社会主義制度を実現することを主張するものではない。党は次のことを実現せんとす る。

  • (一) 封建的専制的軍事警察政治制度としての天皇制の廃止
     皇室の存否に関しては、民主主義人民共和政府成立の後、一般人民投票によってこれを決定する。現大の戦争責任は、これを追及する。さらに、戦争犯罪人・人権じゅうりん犯罪人をわが国の政治・経済・社会の重要地位から清掃する。 *(ニ)天皇制に代えるに、人民自身が主権を掘る民主制を確立し、一院制議会を主幹とする人民共和政府を樹立する。中央および地方の行政機構から反動的官僚を一掃して、すべて権力を行使するものは人民の選挙によることとし、選挙されたものにつねに選挙民に自己の行動を報告する義務をもち、もしこれを怠るか、または不正の行為があった場合は、直ちにこれをやめさせて新しく選出する制度によって、人民は権力の行使を徹底的に監視する制度とすること。
  • (三) 農民の小作料の低減。地主の土地取上げ禁止と耕作権の確立。さらに進んで、皇室・社寺・貴族の土地、その他働かない地主の土地を民主国家が没収し、これを農民に分与する。大地主の土地は無償をもって没収し、小地主の土地は有償をもって買収する。大小の区別は、その地方の事情と地主の性質を考慮して、農民委員会が査定し、人民政府がこれを最後的に決定する。
     遊休山林原野を無償で没収して、これを国費で機械力を用いて開墾し、さらに耕地整理・水系の整理・干潟の干拓・高地ならびに乾地農業を国費で開始しこれらの土地を農民に分与しその耕地を倍加する。国費による農業機械化の促進・国営模範農場の開設・協同耕作の奨励促進・農民にたいする過重な和税負担の廃止。かくして農民の生活を安定させるとともにこれを飛躍的に増大させること。
  • (四) 戦争犯罪人の財産の国有・独占資本の解体。
     大資本にたいする人民政府の強力な統制、労働者が参加する経営協議会制度による産業の経営、金融機関を全面的に統一し、これを人民政府の管理に移す。中小商工業者を独占資本、ならびに官僚の不当干渉から解放し、かれらに営業の自由を確保させる。
     経営協議会制度を運用し、その全面的能率の昂揚を期すること。生産の全体系を整理しこれに均衡をあたえること、人民大衆の生活をつねに向上せしめることによって、生産物を消化し、生産の諸部面における恐慌的攪乱を防止する。
  • (五) 金融機関を全面的に統一し、これを民主主義人民共和政府の管理に移し、資本家ならびに地主の濫費と闇の買いあさりの資金を凍結し、よってインフレーションの根源を封鎖し、全価格体系を安定せしめること。
     戦災によって破壊された産業・交通・社会諸施設・住宅等の復興、ならびに失業者・戦災者・復員および傷痍兵士・在外帰還者等の救済は戦時利得税、ならびに財産税によってこれを行なう。
     食糧その他の日常必需品の敏活豊富な配給、ならびに隠匿物資の摘発は、現在の腐敗した官僚政府に依頼することはできない。故に労働組合・農民委員会・市民食糧管理委員会の結合による人民協議会がこれにあたり、人民の手によって、配給制度を整備する企図である。この組織を全国的に拡大し、民主人民政府が成立した暁には、政府は人民協議会の発展を援助し、さらに漸次、これを 人民政府の諸行政体系に吸収する。
  • (六) 生活を安定させるに足る労働者および俸給生活者の最低賃金制度の創設。同一労働にたいする同賃金。一日七時間(最高八時間) 労働制。婦人青少年の労働の保護。工場法の完備・失業保険・養老年金を含む社会保険の実施。食糧、その他生活必需品の配給等の労働組合による管理。経営協議会制度の強化。労働者の権利の憲法・労働法による確立。
  • (七) 婦人の封建的隷属からの解放。男女同権の確立、また婦人に過重の負荷をかける隣組制度の改正。国家によって豊富な奨学資金を設置し、これによって情少年に高等教育を受ける機会を与える。青少年にたいする民主主義的教育の普及ならびに封建的干渉の廃止。

 ブルジョア民主主義革命が完成されたのちは、わが党はわが国社会の発展状況に応じ、人民大多数の賛成と支持とを得、かつ人民自身の努力によって平和的、かつ民主主義的方法により、資本主義制度よりもさらに高度なる社会制度、すなわち人が人を搾取することなき社会主義制度へ発展せしむることを期する。そしてこれは社会の自然の発展にして、必ず進まねばならぬ道であることを確信する。これが実現にあたっては、党は暴力を用いず、独裁を排し、日本における社会の発展に適応せる民主主義的人民共和政府によって、平和的教育的手段をもってこれを遂行せんとするものである。

 わが党は「私有財産一般の否認」をかつて主張したことはない。「私有財産一般の否認」は、いかなる社会においても存在し得るものではない。原始共産制の崩壊以来、各時代に応じて、それぞれの私有財産制は変遷してきた。将来、社会主義制度が実現することがあっても、私有財産はその社会に適応して存在するものである。
 私有財産の否認をもって、わが党の最高綱領であるがごとく見せしめたのは、悪辣なる天皇制政府の謀略であって、これは治安維持法がはじめて規定したものである。世人がこの人民と日本共産党との分離をはかる陰謀に乗ぜられざらんことを望む。
 わが党は、人が人を搾取する手段、すなわち働かざる資本家の資本、働かざる地主の土地 (の) 私有を廃し、之を社会の共有に移すことによって、搾取制度を廃止することを窮極の目的とする。かくして全人民の消費する物資とこれを生産する手段とを極度に豊富にし、全人民の生活を安定し、明るく豊かにし、かつつねに向上せしむることを期しているのである。



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